
Author:ki4_zou
アタラシもの&車好きのテクニカル・ライター。「伝える」と「伝わる」、「わかった喜び」を考えながら、日々テクニカル・コミュニケーション&タイムドメインスピーカーを手にしたチューニング・製品開発に精進しています。

「良感」って聞いた事がない言葉ですよね。
それもそのはず、何しろ勝手に作らせていただいた言葉ですから。
きっかけは、イタリア語の"simpatico"(aは`付)という言葉。
伊日辞書では「いいかんじ」になるのですが、巷で使われている「イー・カ・ン・ジ」とは、ちょっとニュアンスが違います。イタリア人は、見た目の善し悪しだけでなく、内面的な好感や親しみをこめて使っています。そんな言葉と「イー・カ・ン・ジ」を区別して使いたいと思い、「良感」と表現した次第です。
このブログでは、そんな好感や親しみの持てる言葉/話/物/人を取り上げて、人々に本当に役立つ話題や、世の中が朗らかになる話題を書き留めています。昨今殺伐とした社会生活が、少しでも明るくなり、人々が仲良く共生できるようになればと願っています。
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それもそのはず、何しろ勝手に作らせていただいた言葉ですから。
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タイムドメインスピーカーの開発者由井啓之氏がまとめ上げた「タイムドメイン理論」。
正確な解説はタイムドメイン社のページを見ていただければと思います。
しかしながら、ちょっと難しい!
かと言って、その他のページでは、半端な解釈、勝手な思い込みで「タイムドメイン」について批評しているブログページもちらほら見受けられます。
そこで、ここではタイムドメイン理論の要旨(http://www.timedomain.co.jp/tech/theory/td_theoryA4.pdf)をなるべく専門用語を使わずにやさしく解説してみました。
(4) 「タイムドメイン理論の実践3ー余計な音を加えない」
タイムドメイン理論から導かれる理想のスピーカーは、
「元の入力信号」をそのまま「何も引かず、何も足さず」に再生する。
しかしその入力信号に余計な信号が加わっていたら元も子もありません。
それでは、どんな所で余計な信号が加わるのか、そのポイントを挙げていきましょう。
●柔らかいケーブルを使う
音楽信号は、CDプレーヤー等の再生機器から電圧変化として回路やケーブルを流れ、アンプで増幅されてスピーカーで音になります。
この間に、ケーブルや電子回路、トランジスタ等の部品を通っていくわけですが、それらの部品を通る度に「圧力」が発生しています。

これを「圧電効果(ピエゾ効果)」といい、圧電効果の高い素材を使えば、ブザー音を鳴らしたり、アクチュエーター(動作装置)として物を微小に動かすことも可能な「電気→圧力変換」を行うことができます。

音楽機器やアンプの内部には、ここまで圧電効果を持つ物はありませんが、微弱な圧電効果はいたるところで発生しています。
電気が流れることで発生する「圧力」が何になるかというと、「振動」です。
この「振動」は目に見えるような「揺れ(横振動)」ではなく、物質の中を伝わる「圧力波(縦振動)」としてケーブルの中を次の電気機器へ伝わります。
身近な例では、地震警報で使われるのが「圧力波(縦振動)」、実際に地面が上下するのが「揺れ(横振動)」です。
「圧力波(縦振動)」物質の中を進むためスピードが速いので、横揺れが到達する前に「揺れるぞ!」という予告が出せるのです。
由井啓之氏は長年の研究の中で、この「圧力波(縦振動)」が音を濁らせる原因になると気づきました。
というのも、この「圧電効果」は「電気→圧力変換」だけでなく、「圧力→電気変換」も行われる現象だからです。

例えば、アンプでは音楽信号を増幅したものが、スピーカーケーブルを介してスピーカーに伝わります。
この時、アンプ内部で発生した「圧力波(縦振動)」もスピーカーケーブルに伝わります。
スピーカーでは、アンプで増幅した音楽信号に加え、アンプで発生した圧力波(縦振動)が電気に変換されて音になるため、最終的に音楽信号には無い余計な音が音楽を濁らせることになります。
では、この圧力波の影響を排除するにはどうしたらよいのでしょうか?
例えば金槌で何かを叩いたとき、こんにゃくのようなやわらかいものだと、圧力が伝わりません。

鉄の棒のように硬くてしっかりしたものを叩けば、効率よく圧力が伝わります。
だから、「太くてしっかりしたスピーカーケーブル」の方がより効率良く圧力波が伝わることになります。
逆に「なるべく柔らかい電導体」を使えば、圧力波が伝わりにくくなるため、余計な音になる振動の伝播を減らすことができます。
そのため、タイムドメインスピーカーのスピーカーケーブルは、細くて柔らかいものが使われているという訳です。
【Yoshii9 mk2のスピーカーケーブル】

実際には、音楽プレーヤーとアンプの間でもこの「圧力波(縦振動)」が起きているので、アンプの入力ケーブルも細くて柔らかいものを使った方が、音を濁らせにくいということになります。
●電源ノイズを排除する
アンプも音楽プレーヤーも電気で動作しているので、家庭用機器ならコンセントに繋いで使うのが一般的です。
この「コンセント」は、発電所から繋がっているから電気が来るわけで、途中の送電線や変電所、電柱、隣の家にも繋がっています。
周囲や自宅内で発生したノイズが「コンセント」に影響を与えているため、実際コンセントも100V一定の電気ではなく、多くのノイズを含んだ100Vを使っていることになります。
普段聴いているオーディオやテレビの音は、そのノイズも含めた音を聴いていることになります。

「コンセント」に比べ電気ノイズが少ないのが「電池」です。
「電池」は独立しているので、外部からのノイズを受けることがありません。
それを知っている人は、タイムドメインlightやminiを電池駆動で使っている方もいます。
【モバイル電池ボックス】

ただ「電池」も万能ではありません。
消費電力の大きなアンプに使うには、それなりに大きな電池が必要になり、取り扱いには危険が伴ってきます。
また、電池は全く難点が無いわけでもなく、電気を起こす際の化学反応ノイズがあったり、急激に大きな電気が供給できない(化学反応遅れ)という難点が残ります。
もし電源ノイズを排除するとどうなるのか?
ノイズの極めて少ない電源で音楽プレーヤーやアンプを駆動したら、「無音」が極めて静かになります。

この差分が、今まで無意識に聴かされていた電源ノイズということになります。
音楽を再生すると、無の世界に音源の音情報だけが乗っかるので、音がクリアになり、微細な音や余韻がよく聴こえるようになります。
あまりにも色々聴こえてくるので、音量が上がった印象にもなります。
普通に再生しても音楽は聴けていますが、アーティストが心を込めて吹き込んだ音楽を余さず楽しむには、電源ノイズが無い方が良いということです。
では電源ノイズを排除するにはどうするのか?
一般的なフェライト等の電源フィルターは、パッシブ型と言って電源に一定のノイズ低減効果をもたらすものです。
ただ、その効果はノイズの周波数によって効果がまちまちで、音楽再生に影響する帯域では効果がないものや逆に音楽情報を歪めてしまうものもあり、難しいところがあります。
また、凝った電源ノイズフィルター類は、ノイズ低減効果があったとしても、別の癖がついてしまう副作用が多く、本末転倒な場合もあります。
そんな中、これまでの経験上一番効果があったのが、iFi-Audio社のアクティブノイズフィルター製品です。
これは、電源ノイズを検知して逆相のノイズを加えることで、電源にノイズキャンセリングをかけるというものです。
電源に乗っているノイズを元にノイズキャンセリングするので、ノイズ低減効果が高く、癖が乗らないのが特徴となります。
【iFi-Audio PowerStation】

【iFi-Audio iPower Elite】

電源を良くすると、どんな機器でもそれだけで数段アップグレードするので、手軽な手段です。
さらに純度の高い機器では、その恩恵はより大きくなるので、電源を良くすることががとても重要なことと言えます。
●余計な加工を排除する
一般的なアンプや音楽プレーヤーには、トーンコントロールやイコライザー機能などが付いています。
これらは、元の音楽信号に癖をつけるもので、音の情報は歪んでしまいます。
だから、「余計な音を加えない」という意味で、必ずフラットで聴くのがベストとなります。
またCDやネット配信などのデジタル音源は、必ずD/A変換(デジタル-アナログ変換)が必要になるのですが、たいていの場合このD/A変換時に音を滑らかにするデジタルフィルターが通されています。
ただ、音を滑らかにするということは微細な情報を塗りつぶして削ぎ落とすことになるので、音情報は壊れて減ります。
このデジタルフィルターを通さない方式のDACが「NOSDAC(ノン・オーバー・サンプリング デジタルアナログ変換器)」です。
音楽の微細な情報まで忠実に再現できるタイムドメインスピーカーでは、デジタルーアナログ変換器として、この「NOSDAC」を推奨しています。
しかしながら、世の中にNOSDAC製品は極めて少なく、かつ高価なものが多くなっています。
今のところ、NOSDACの音を聴くには、iFi-Audio GO barという製品が一番安価なものになります。
【iFi-Audio Go bar】

さらに計算機を使わずにデジタルデータをアナログ的に変換するR-2R方式のDACを使うことで、デジタル臭さがなくなり、より豊かな情報を浴びて音楽を聴くことができます。
【XI AUDIO K-DAC】

いかがでしょうか?
普段意識しないあらゆるところに、音楽の情報をロスする原因が存在していたことに気づかれたかと思います。
その原因を見つけ出し、一つ一つ癖の出ない方法で回避していくことで、忠実再生の純度を上げていくことが、タイムドメイン理論の実践となります。
“タイムドメイン理論”をやさしく解説(1) 「タイムドメイン理論とは」
“タイムドメイン理論”をやさしく解説(2) 「タイムドメイン理論の実践1ー正確に動かす」
“タイムドメイン理論”をやさしく解説(3) 「タイムドメイン理論の実践2ー邪魔をさせない」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
わずか8cmのウーファーで6Hzまでの低い音まで再生する
TDウーファーがあれば、バスドラやシンセのビートも、
古楽器の音色も、映画の迫力シーンも、一気に改善!
Yoshii9をはじめとした各種タイムドメインスピーカーを
アップグレードして音楽も映画も上質な音で豊かな人生に!
実際どんな音なのか?
試聴は「タイムドメインスピーカー雑司が谷試聴室」
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タイムドメインスピーカーの開発者由井啓之氏がまとめ上げた「タイムドメイン理論」。
正確な解説はタイムドメイン社のページを見ていただければと思います。
しかしながら、ちょっと難しい!
かと言って、その他のページでは、半端な解釈、勝手な思い込みで「タイムドメイン」について批評しているブログページもちらほら見受けられます。
そこで、ここではタイムドメイン理論の要旨(http://www.timedomain.co.jp/tech/theory/td_theoryA4.pdf)をなるべく専門用語を使わずにやさしく解説してみました。
(3) 「タイムドメイン理論の実践2ー邪魔をさせない」
タイムドメイン理論から導かれる理想のスピーカーは、
「元の入力信号」をそのまま「何も足さない、何も引かない」に再生する。
それを実現するには、音を崩す原因をひたすら排除することが必要です。
スピーカーのコーン紙を正確に動かすことが何も引かないの前提ですが、スピーカーユニット自体が自ら前後の動きを作る機能故に、邪魔をする原因も同時にいっぱい作ってしまいます。
それでは、影響の大きな邪魔の原因からタイムドメインの純度を上げていくポイントを挙げていきましょう。
●コーン紙のベースを固める
スピーカーはコイルに流れる信号に応じて永久磁石と反発することで、コーン紙を動かします。

スピーカーの前面から出る音は正確な音が鳴ります。
でも、もしスピーカーのフレーム側(磁石側)自体が揺れてしまったら、コーン紙にはその振動が足されてしまい、正確な音になりません。

現実世界では、スピーカー再生時に「作用反作用」という力が働きます。

コーン紙が前に動くと同時にフレーム側も後ろに動く力が働いているのです。
もしスピーカーユニットを宙に釣って音を鳴らしたら、コーン紙とフレーム側が両側に動くことになります。
どれぐらい動くかは、コーン紙とフレーム側の重量比で決まります。
コーン紙とフレーム側の重量比が1:1ならば、両側に同じ距離だけ動こうとします。
コーン紙とフレーム側の重量比が1:10ならば、コーン紙側10に対してフレーム側が1の比率で動こうとします。
一般的な箱スピーカーでは、スピーカーのフレームが箱に固定されているので、「フレームが動こうとする=箱が振動する」ということになります。

問題はフレーム側が動いたとき、その上で相対的に動いているコーン紙には信号と違う動きが足されてしまうということです。
動きが足されたコーン紙が押す空気は、元の信号とは別の音を再生してしまうことになります。
これを回避する工夫として、タイムドメイン Yoshii9では「仮想グランド」という構造になっています。
スピーカーのフレーム部分を空中に浮かせて「静止状態を作ろう」と言うものです。

まず作用反作用を抑えるために、Yoshii9ではフレーム側に1kgのオモリを取り付け、スピーカーのフレーム側の重さと合わせて1.4kg=1400gの重さにしています。
その上で動くコーン紙は1.4gという特別軽いもの。
コーン紙とフレーム側の重量比が1:1000になり、フレーム側がほぼ静止している理想に近い状態を作っています。
このスピーカーユニットを剛性の高いアルミパイプ筐体の上にゲルを介して乗せることで、アルミパイプ筐体からの影響を受けずに空中に静止しているフレームを実現しています。
静止したフレーム上でコーン紙が動けば、正確な再生音が鳴るというわけです。
● 背面の音を使わない
スピーカーはコイルに流れる信号に応じて永久磁石と反発することで、コーン紙を動かします。

コーン紙は前側に動くことで空気を押して音を出しています。
そのコーン紙が戻るとき、背面側の空気も押していることになり、背面側にも同じ量の音が出ていることになります。
ただし、背面側の音は、前面側より常に少し遅れた音になります。
もちろん、元の信号にわずかに遅れた音は入っていないので、「背面の音=聴かせたくない音」ということになります。
一般的な箱スピーカーでは、せっかく背面の音が出ているのだから、「箱で共鳴させて低音を増やそう」とか、「いい音色を加えよう」としています。

ただ、箱の中で何往復もした音は、「その距離分時間的に遅れた音」となるので、盛大なエコーを加えていることになります。
また箱の中で共鳴した音は、薄いスピーカーのコーン紙部分を通過して前面にも出てくる音もあるので、より前面の音を濁らせます。
さらに箱の中で共鳴させることで、箱自体が複雑に振動するので、そこに取り付けてあるスピーカーユニットの音は余計に前面の音が濁る原因になっています。
濁った前面の音+遅れた箱の音は、「何も足さない、何も引かない」とは真逆の手法ということになります。
タイムドメイン Yoshii9では、背面に出た音が極力反射して戻ってこないよう、筒状の筐体になっています。

剛性の高い筒形状+音の方向と平行する壁で、筒自体がほとんど振動しないという利点もあります。
筒の内部も吸音材が貼られていて、通過する背面の音を弱めつつ、下の穴から逃がすことで、スピーカーのコーン紙に戻ってこない工夫がされています。
類似した筒型スピーカーの中には、筒の中を響かせて低音を増強するものも存在しますが、これはタイムドメインとは真逆の考えであり、似て非なるものです。
このように「何も足さない、何も引かない」の理想と、スピーカーが床に立っているという現実の間にはさまざまな劣化の原因があり、実際に起きている物理現象に対して構造を考えたり、回避する対策をすることで、タイムドメイン理論の理想に近づけているというわけです。
“タイムドメイン理論”をやさしく解説(1) 「タイムドメイン理論とは」
“タイムドメイン理論”をやさしく解説(2) 「タイムドメイン理論の実践1ー正確に動かす」
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タイムドメインスピーカーの開発者由井啓之氏がまとめ上げた「タイムドメイン理論」。
正確な解説はタイムドメイン社のページを見ていただければと思います。
しかしながら、ちょっと難しい!
かと言って、その他のページでは、半端な解釈、勝手な思い込みで「タイムドメイン」について批評しているブログページもちらほら見受けられます。
そこで、ここではタイムドメイン理論の要旨(http://www.timedomain.co.jp/tech/theory/td_theoryA4.pdf)をなるべく専門用語を使わずにやさしく解説してみました。
(2) 「タイムドメイン理論の実践1ー正確に動かす」
タイムドメイン理論から導かれる理想のスピーカーは、
「元の入力信号」をそのまま「何も足さない、何も引かない」に再生する。
それを実現するには、音を崩す原因をひたすら排除することが必要です。
ところが、音を崩す原因は音楽再生のあらゆる段階に存在し、完全に排除することはまず無理でしょう。
でも、一つ一つの劣化原因を見つけて対策していくことで、実際驚くほど生々しい音になっていきます。
それでは、影響の大きな劣化原因からタイムドメインの純度を上げていくポイントを挙げていきましょう。
●一つのスピーカーを使う
音を周波数で分解して複数のスピーカーで鳴らすマルチWAYのスピーカーは、音として完全に壊れてしまい、また周波数合成しても元には戻らないため、広音域を一つのスピーカーで再生するフルレンジスピーカーを使用することが大前提となります。

引用:タイムドメイン社「タイムドメインとスピーカー」より
●正確に動くコーン紙を使う
スピーカーはコイルに流れる信号に応じて永久磁石と反発することで、コーン紙を動かします。

これ自体は特に難しい仕掛けではないのですが、コーン紙が大きくなると外周部でたわみが生じて一体として動かなくなる「分割振動」という問題が起きてきます。
例えば、釣竿で考えると短い釣竿なら指揮棒のようにほぼ一体として振れますが、長い釣竿では途中がしなって先端の動きが遅れてついてくるようになります。
スピーカーの微小時間・微小振動の世界では、これがコーン紙の内側と外側の間で起き始めるのです。

スピーカーの前面から発する音自体が、正しい音と遅れた音が混ざるので、ボケたり干渉したりして濁った音になってしまいます。
では、「しなりが起きないような硬い素材のコーン紙を使えばよいではないか!」となります。
コーン紙が硬くて剛性が高いと、今度はコーン紙自体が共鳴しやすくなっていきます。
コーン紙自体が素材の音を出してしまっては、元の音にコーン紙の音が足されてしまうので、元も子もありません。
このコーン紙自体が音を出しにくいことを「内部損失」と言います。
コーン紙自体が振動するのはスピーカーの宿命ですから、余計な振動が残らないように「コーン紙が響かないことが重要」なのです。
コーン紙の剛性が高いと同時に内部損失が小さくなってしまうパターンが多く、「剛性が高く内部損失も大きい」素材というのが今も研究され続けています。
そして、今のところ「剛性が高く内部損失も大きい」をバランス良く実現しているのが「紙」というわけです。
初期の頃からコーン紙として採用されている「紙」は、素材の質や厚みで剛性を調整しつつ、紙自体が響きにくいのが良いところで、今でも多くのスピーカーに採用されています。
ただし、紙は長さが長くなればなるほど分割振動が起きやすくなるため、スピーカーの口径には限界があります。
分割振動をほぼ無視できる最大口径として、由井啓之氏が特殊な軽い紙を使って導き出したのが、Yoshii9のスピーカーの口径「8cm」です。

【関連記事】
“タイムドメイン理論”をやさしく解説(1) 「タイムドメイン理論とは」
“タイムドメイン理論”をやさしく解説(3) 「タイムドメイン理論の実践2ー邪魔をさせない」
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正確な解説はタイムドメイン社のページを見ていただければと思います。
しかしながら、ちょっと難しい!
かと言って、その他のページでは、半端な解釈、勝手な思い込みで「タイムドメイン」について批評しているブログページもちらほら見受けられます。
そこで、ここではタイムドメイン理論の要旨(http://www.timedomain.co.jp/tech/theory/td_theoryA4.pdf)をなるべく専門用語を使わずにやさしく解説してみました。
(1) 「タイムドメイン理論とは」
「理論」というとかしこまりますが、言っていることは至ってシンプル。
「音楽再生は時間変化を忠実に再現すべき」
これだけ。
「時間方向」を重視する理論だから「TimeDomain(時間軸・時間領域)理論」と名付けられました。
これの何が新しいのか?
それは、今までが、
「音楽再生は周波数の塊であり、周波数の合成で再生すべき」
という考え方が、音響工学や音響理論の根底にあったのです。
これは「周波数理論」や「周波数特性」と呼ばれています。
周波数の合成とは、目するわかりやすいところで2WAYスピーカーとか3WAYスピーカーでよく見かける複数のスピーカーユニットが付いているスピーカーです。
「一つのスピーカーでは全音域をカバーできないから、音域毎に専門のスピーカーを使い分ければ、より正確に周波数成分を再現できる」
ということで、普及しています。
しかし、実際には、一度音域毎に音を分けてしまうと、元通りには戻りません。
これは、由井啓之氏が行った解析計算した例の一つです。
無音と一定周波数の音を入力すると、理論上どういう音に分解できるか?
そして、それを再び合成するとどういう音になるかを示しています。

引用:タイムドメイン社「タイムドメインとスピーカー」より
一番上が元信号。
二番目は、それを複数の周波数信号に分解(フーリエ変換)した波形。
三番目は、分解した複数の周波数信号を合成して再現した信号。
無音部分や繰り返し信号の部分は理論上でも上手く元の波形を再現できていると言えるでしょう。
ところが、信号が変化する部分では元の信号には無い音が出てしまっています。
そう、従来の周波数で分ける理論は、繰り返し信号には当てはまるものの、単発の信号やランダムな変化をする信号(いわゆる普通の音楽)では、信号を上手く再現できていないことも、この解析計算結果で証明しています。
だから、周波数特性が優秀なスピーカーやアンプであっても、音楽再生が良いかは別の話ということです。
そして、「もしや音楽再生には周波数特性よりも時間軸(タイムドメイン)の方が重要なんではないか?」と気づいたのが由井啓之氏というわけです。
タイムドメイン理論では、時間ごとに変化する音信号の波形をそのままスピーカーで再現するのがベストと考えます。

引用:タイムドメイン社「タイムドメインとスピーカー」より
要するに、マイクで拾った空気の振動をなるべく崩さず、また何かを足すこともなく、そのままスピーカーで再現すれば、録音現場で聴いた音が、時も場所も離れた所で聴けるようになるだろうという考えです。
どうでしょうか?
「タイムドメイン理論」と言っても、実は意外とシンプルな話だったと思います。
タイムドメインスピーカー第一号となる「ONKYO GS-1」は1983年に発売されています。

では、約40年も経つのに、未だに周波数理論で作るメーカーが多いのはナゼでしょう?
それは、昔からある測定機器で繰り返し信号を測定する方が、楽に数値化しやすいからです。
そして、未だに一定周波数の発信音(繰り返し信号)で測定するのが、常識とされたままです。
しかし、いくら数値化できても、自然界や、まして音楽でも滅多に無い繰り返し信号を基準にしていては物差しが違うのだから、音楽再生の改善にはつながらってないのではないでしょうか?
コンピュータやデジタル製品は、ここ40年で目覚ましい進歩をしてきましたが、オーディオ機器はどうでしょう?
あまり代わり映えしないのが実感かと思います。
タイムドメイン理論では、パルス信号の再現性を重要な評価基準として考えています。
現代の測定機器においては、パルス信号を記録したり、比較したりすることは簡単なこと。
さまざまなパルス信号を正確に再現できれば、音楽を再生しても正確に再現できる!
ただ、この「何も足さない、何も引かない」が、実はとても難しいことなのです。
このタイムドメインの理想を実現するための工夫については、次回以降で解説していきます。
【関連記事】
“タイムドメイン理論”をやさしく解説(2) 「タイムドメイン理論の実践1ー正確に動かす」
“タイムドメイン理論”をやさしく解説(3) 「タイムドメイン理論の実践2ー邪魔をさせない」
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